西新宿駅前の行き止まり
- kajiwarazassi
- 2015年9月17日
- 読了時間: 2分
西新宿に降りて徒歩5分くらいのところに新宿村というスタジオがある。ここはお金のかかった大物キャストが出演するような舞台のために使われている稽古場なのだが、これが住宅地の中にある。真横にある公園には、何の仕事をしているのかしていないのかよくわからないおっさんがベンチで佇んでいる。「やるなら今しかねえ」とつぶやいていたかどうかは定かではない。
その新宿村スタジオで宝塚の公開舞台稽古を堪能した後、西新宿駅に戻ったのだけど、よくみるとこんな標識があった。
「先方行き止り」

西新宿の面白いところは、青梅街道を境に北と南では風景が全く違うところにある。南側は新宿アイランドタワーや東京医大など巨大ビルがそびえたつ新宿新都心区域。もうちょっと南に行くと都庁がある。元々、この場所には淀橋浄水場があった。淀橋浄水場は東村山浄水場に機能を移し、この跡地と周辺を含む96ヘクタールの区域に、道路や公園を整備し、官庁街、オフィス街、デパート、ホテル、商業施設等を有機的に配置する立体的で効率的な新宿新都心計画がスタート。この計画は、千代田・中央・港の三区に集中している都市機能を分散・緩和するものでもあった。現在、新宿駅西口の朝はスーツ姿の男性でごった返す。
それに比べて北側は非常にごちゃごちゃしている。下町らしい下町だ。北と南でそんなに違うのかというくらい違う風景が見える。西新宿を舞台にした長渕剛のドラマの主題歌には「逃げ場所のない覚悟が夢に変わった」という歌詞があるけれど、この「先方行き止り」の先にはマッサージ店があった。
とにかく、青梅街道のこの境目加減がすごい。スーツの大人と泣きっ面に小便の大人になり切れない子ども。この境目は青梅街道のことなのかなあと思ってみたりして。
出典:東建月報 2000年2月号
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