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東急副都心線渋谷駅明治通り恵比寿方面16b出口

  • kajiwarazassi
  • 2015年6月25日
  • 読了時間: 3分

駅前劇場

昔から渋谷には縁がある。

 神奈川県横浜市出身の私は、若いころ、なにかと、とりあえず渋谷に出た。渋谷に出ないと新宿にも下北沢にも出られないからだ。別にチーマーだったわけではない。女子高生のパンツを買ったこともない。かつて広末涼子が「渋谷はちょっと苦手」だったように、私もどちらかというと、苦手な方だった。

 職場が渋谷だったこともあり、15年くらい、ほぼ毎日のように渋谷に通っていた。今でもその職場から仕事をもらっているので、ちょくちょく通っている。職場は明治通り側だったため、とにかく私はいつも渋谷の東口にいた。

 使っていた電車は東急東横線。私は、毎日のようにかまぼこ屋根と呼ばれていた東横線渋谷駅高架式ホームを降り、歩道橋を渡って、会社に向かっていた。

 2013年3月15日金曜日。東横線は副都心線と相互直通運転を開始することで、東横線渋谷駅は閉鎖されることになった。その日、私も渋谷にいた。普通に家に帰るためだ。駅の歩道橋にはわんさか人がいた。人々は駅のホームの写真を撮っていた。

 東横線は副都心線と地下でつながった。明治通り恵比寿側に職場のある私。3月18日の月曜日はどこから出たら、そっちに行けるのか。探した。なんだ、ここは。ダンジョンか? どうやって出ればいいのか? ヒカリエ出ろってことか? わざわざヒカリエ出てからまた、歩道橋を渡るのか? 面倒くさい。探す。あった。

 横浜方面からエスカレーターを上っていくと、改札口に出る。改札口からUターンしていくような方向に地味な通路がある。真っ直ぐ進むと階段がある。上っていくと、出てきた風景は歩道橋。そう。ここは歩道橋の下である。ずーっと、この道を通っていたのに、16bという出口が出来上がっていたことに気付かなかった。

渋谷駅16b出口

 渋谷という土地は名前の通り谷にある街だ。新宿、池袋に並ぶ3大副都心とされており、東急線と山手線のターミナル駅となっている。明治通りと246号線も重なり、その上には首都高も走っている。地下から順番に挙げていくと、副都心・東横線、・半蔵門・田園都市線、246号・明治通り、JR線、銀座線・井の頭線、そして首都高。あらゆる交通手段が交差する。それが渋谷である。渋谷という町を見ていて楽しいのは、その交差感である。手塚治虫が描いた未来感というか、わくわくする。

 その未来感の中でできたのが、この16bという出口である。渋谷という街は成熟しすぎて土地がないのだ。だから、こんなことが起きてしまう。歩道橋という過去感を感じさせる交通通路に隠れてひっそりと未来感あふれているべき地下口ができあがるという事実がなんだか香ばしい。

 子どものころ。私は過去から未来に時が進むなかで、街というのはきれいに更新されていくものだと思っていた。しかしそうではない。人の思惑やどうやっても動かせない地形などがあって、その合間を縫って街は作り上げられていくのである。それを気づかせてくれたのが16bの出口である。

 センター街方面の派手な渋谷が有名だが、どちらかというと、私は16b出口周辺の渋谷が本当の渋谷だと思っている。本当の渋谷って何だ?って話だが、このあたり渋谷はちょっと好きということが言いたいのである。

 
 
 

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