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家庭料理の店 Ryoのから揚げ定食@祖師ヶ谷大蔵

  • kajiwarazassi
  • 2015年6月8日
  • 読了時間: 4分

定食屋で喰らう

私は芸能記者の仕事をしている。

 ドラマだったり映画だったりの制作発表や舞台発表などに出向き、そこで演者が発したコメントを拾っていく作業をする。芸能記者というと、聞こえがいいが、地味な仕事だ。(聞こえいいか?)

 ドラマ制作は郊外にあるスタジオで行われることが多い。東京都世田谷区砧にあるTMCスタジオもそのうちの一つである。広大な敷地の中にある7つのスタジオは、TBSと関西テレビ、国際放映が管理している。

 先日は藤原紀香のドラマの取材に行った。“氣愛と喜愛で♪ノリノリノリカ”でお馴染みのあの藤原紀香の取材である。

 スタジオまでは小田急線祖師ヶ谷駅から徒歩10分、迷路のような住宅地を抜けたところに位置する。近くには世田谷通りが伸びており、日本大学商学部や国立成育医療研究センター病院が存在する。ちょっと先まで歩けば大蔵運動公園と砧公園も備えており、交通の便は悪いが文化と教育と医療が両立した街だということがわかる。

 会見のスタートは昼の12時半。13時には終了する。さて、そのあとの昼飯をどうするか。待ち時間を使ってネットで探す。すぐに出てきた店が“家庭料理の店 Ryo”。昼の営業時間は14時まで。会見終了後、急いでスタジオを出る。

 あれ?この辺だったはずなのに。…あった!

家庭料理の店 Ryo

 地味な外観。ポップな字体の看板だけど、青バックの白抜き文字で目立たない。壁に貼られているフラダンス教室と空手教室の生徒募集ポスターが地元との密着度を示している。

 中に入ると思った通りの広さと内装。テーブル4席×6。カウンターの1席は変則的な形で位置している。落ち着いた雰囲気。テーブル席に着き、パソコンを広げながらから揚げ定食(850円)を注文。原稿を書きながら食事に勤しもうというのが私の魂胆である。

 右側の席のおばちゃんたちが井戸端会議をしている。

私の方を見ながら「あら、ジョージ・クルーニーって来日したのね」とつぶやく。当然、私はジョージ・クルーニーではない。私越しの窓際にテレビが配置してあり、おばちゃんたちはワイドショーを見ていたのである。

 定食屋のテレビは大体高いところに位置している。狭い店だと特にモノが多くて、整理するのが大変だと思う。その中で、テレビの配置というのは、一種、店のアイデンティティを感じさせる。

Ryoのテレビは出窓にある。テレビの位置が高いと首が疲れる。しかし、この店では客の目線と同じところにある。これだけで、なんか落ち着く。

 テレビより、原稿。雑誌もいくつか置いてあり、待ち時間もゆっくりできる雰囲気のある店だが、私は原稿。原稿を書く。

 しばらくして、やってきたから揚げ定食。まず、から揚げの大きさに驚く。一口では入りきれないほどの大きさ。味付けはケチャップでもソースでもなく塩。レモンをかけて、塩をちょんちょんと付けて、口の中へ運ぶ。外はカリカリ、中はジューシー。うまい。

 付け合わせには漬物ともやしのあえ物。もちろんから揚げ定食には欠かせない大量の刻みキャベツは定位置をがっちりと守っている。ご飯のかたさもちょうどいい、油揚げの味噌汁は基本中の基本。ご飯、漬物、から揚げ、もやし、ご飯、味噌汁。ローテーションの守れる野球チームは強いチームだ。ノリノリでガツガツ食う。ムシャムシャではなく、ガツガツだ。氣愛と喜愛でガツガツ、から揚げを食す。

 食べ終えると給仕のおばちゃんがお茶を持ってきてくれる。ありがたい。ありがたく、お茶をすすっていると、左側の隣の隣の席の若者男子2人組が「独り暮らしって大変だよなあ」というつぶやきをもらす。多分、日大生だろう。から揚げの大きさと大学の所在は比例する。若者にも地元民にもスタジオのADにも優しい店なのだろう。

 仕事ついでに寄った店がこういう店だとうれしい。私は歯ごたえのよいから揚げの仕業で痛めた歯茎をおさえながら、半分笑顔、半分苦虫をつぶしたような顔で、祖師ヶ谷大蔵の駅に足を向けるのだった。

家庭料理の店 Ryo (リョウ)

住所:東京都世田谷区砧3-5-3

TEL:03-3417-0004

[日~金]11:00~14:00、17:00~21:00(L.O)

22:00~25:00

 
 
 

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